株式投資を始めたばかりのとき、「銘柄が多すぎてどれを選べばいいのか分からない」という悩みを持つ方はとても多いです。そんなときにおすすめなのが、「自分の生活に身近な会社」から候補を探していく方法です。このページでは、日常生活に登場する企業をヒントにしながら、初心者でも無理なく銘柄候補を見つけるステップを紹介します。

身近な会社から始めるメリット

ビジネスのイメージがつきやすい

知らない業界の企業よりも、普段から利用しているお店やサービスのほうが、何をしている会社なのかイメージしやすくなります。たとえば、

  • いつも利用するスーパーやドラッグストア
  • よく行くコンビニや外食チェーン
  • 毎日使うスマホキャリアやインターネットサービス
  • ネット通販サイトや動画配信サービス

といった企業であれば、「お客さんが多いかどうか」「サービスの質がどう変化しているか」などを、自分の目でなんとなく感じ取ることができます。

ニュースや日常の変化と結びつけて考えられる

身近な会社はニュースにも登場しやすく、「値上げ」「新商品」「店舗拡大」などの話題が出やすい分野です。日常で感じた変化を、「この会社の売上や利益にどう影響しそうか?」と考える習慣を持つと、自然と企業を見る目が養われていきます。

生活から銘柄候補をリストアップするステップ

① 1日の行動を振り返って企業名を書き出す

まずは、難しく考えずに「今日1日を振り返る」ことから始めてみましょう。例えば、次のような観点でメモをしていきます。

  • 朝:コンビニでコーヒーやパンを買った
  • 昼:よく行くチェーン店でランチを食べた
  • 帰り:スーパーで食材を買った
  • 家では:動画配信サービスでドラマを見た/ネット通販を利用した
  • 常に:スマホキャリア・インターネット回線・クレジットカード会社など

このときは、まだ「投資対象として良い会社かどうか」は考えなくて大丈夫です。あくまで「自分の生活に関わる企業の棚卸し」をするイメージで、思いつくままに書き出していきます。

② 上場企業かどうかを確認する

次に、書き出した企業が株式市場に上場しているかどうかを調べます。多くの場合、証券会社のアプリやウェブサイトで企業名を検索すると、上場しているかどうか、証券コードは何か、などを簡単に確認できます。

もしグループ会社やブランド名しか分からない場合でも、検索していくうちに「親会社」が見つかることがあります。「このサービスを提供しているのはどの会社か?」を調べること自体が、株式投資の良いトレーニングになります。

お店やサービスを利用するときにチェックしたい視点

お客さんの数や客層の変化

スーパーや飲食店、ドラッグストアなどを利用する際に、「以前よりお客さんが増えているか」「客層は広がっているか」などを意識して見ると、その企業の勢いを感じ取りやすくなります。とはいえ、1〜2回行っただけの印象で判断するのではなく、何度か通う中での変化を見ることが大切です。

価格やサービスの変化

「最近値上げが多い」「サービス品質が落ちてきた」「新しいサービスが増えた」などの変化も、ビジネスの方向性を考えるヒントになります。値上げひとつとっても、「お客さんが離れずに受け入れているのか」「値上げ後に店がガラガラになっていないか」で意味が変わってきます。

競合との違い

同じようなお店やサービスがたくさんある中で、「なぜ自分はこの会社を選んでいるのか?」を考えてみるのも有効です。「価格が安い」「品質が良い」「ポイントが貯まりやすい」「アプリが使いやすい」など、競合との違いを意識すると、その企業の強みや弱みが見えやすくなります。

身近だからこそ注意したい落とし穴

好きな気持ちだけで判断しない

「自分が好きな店だから」「よく利用しているから」という理由だけで投資判断をしてしまうのは危険です。ビジネスとしての実力が伴っているかどうかは、やはり数字や業績の推移も見て確認する必要があります。

地域の感覚が全国の実態とズレていることも

自分の住んでいる地域ではとても繁盛していても、全国的には競争が激しく苦戦しているケースもあります。逆に、近所に店舗がなくても全国的には強いブランドということも多いです。身近な体験はあくまで「きっかけ」として活用し、企業全体のデータも合わせて見るようにしましょう。

身近な企業を候補にしたあとの確認ステップ

証券会社アプリで企業情報をチェック

気になる企業がいくつか絞れたら、証券会社のアプリやウェブサイトで次のような情報を確認してみましょう。

  • 事業内容(何で売上・利益を出している会社か)
  • 売上高・営業利益・純利益の推移
  • 配当金の有無と配当利回り
  • 直近数年の株価の流れ

細かい数字を完璧に理解する必要はありませんが、「売上や利益が長期的に伸びているか」「大きな赤字が続いていないか」といった大まかな流れを確認するだけでも、リスクを減らすことにつながります。

少額から試し、自分なりの感覚を育てる

最初から完璧な銘柄選びをする必要はありません。むしろ、少額で実際に株を持ってみて、「ニュースが出たときに株価がどう動くか」「決算発表でどんな反応になるか」を体験することが、何よりの学びになります。

生活に身近な企業を中心に、「スーパー+通信+日用品メーカー」など、性格の違う銘柄を少しずつ組み合わせていくと、自分なりのポートフォリオを作る感覚も身につきやすくなります。

※本記事は特定の銘柄や投資方法を推奨するものではありません。株式投資には価格変動などによる元本割れリスクがあり、損失が生じる可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。