老後破産を招く、投資の落とし穴とは?

老後資金を守りながら投資と付き合うための基本

老後破産を防ぐためには、「増やすこと」だけでなく、「減らさないこと」にも気を配る必要があります。ここでは、投資と上手に付き合うための基本的な考え方を整理します。

生活防衛資金を優先して確保する

まずは、病気や介護、災害などの予期せぬ出費に備える生活防衛資金をしっかり確保しておくことが重要です。目安は人それぞれですが、数か月〜1年分の生活費を現金や普通預金として手元に置いておくと、万が一のときにも投資資産を慌てて売らずに済みやすくなります。

生活防衛資金がない状態で投資を増やしていくと、ちょっとしたトラブルで資金繰りが苦しくなり、老後資金として積み立てていたお金を取り崩さざるを得ない状況に陥りやすくなります。

分散投資と長期運用を基本にする

特定の1銘柄や1つの国・地域に資金を集中させるのではなく、複数の資産や地域に分けて投資することで、1つの要因で資産全体が大きく減ってしまうリスクを抑えやすくなります。株式・債券・投資信託・現金など、性質の異なる資産を組み合わせて持つことも有効です。

また、長期でコツコツ続けることで、一時的な値下がりがあっても、時間をかけて回復を待てる可能性が高まります。短期間で大きな利益を狙うのではなく、長い目で見て資産を育てていくイメージを持つことが大切です。

自分が理解できる商品だけを選ぶ

投資商品を選ぶ際の目安として、「なぜ値段が動くのか」「どのようなときに損失が出るのか」を自分の言葉で説明できるかどうかを意識してみましょう。自分で説明できない商品は、いざというときに冷静な判断がしにくくなります。

分からないまま契約してしまうと、想定外の値動きが起きたときに過度な不安を感じ、損失が大きいタイミングで売却してしまう原因にもなります。「よく分からないものには手を出さない」という姿勢も、大切なリスク管理のひとつです。

不安を感じたときに相談できる公的な窓口

投資やお金のトラブル、不安を一人で抱え込まず、早めに公的な相談窓口を活用することも、老後破産を防ぐうえで重要です。

身近な相談先としては、各地域の消費生活センターや、全国共通の「消費者ホットライン(電話番号188)」があります。投資の勧誘やもうけ話について不安を感じたときや、トラブルに巻き込まれてしまったかもしれないと感じたときは、早めに相談することで、被害の拡大を防ぎやすくなります。

また、金融商品に関する具体的な手続きや説明内容に疑問がある場合は、取引している金融機関の窓口や、金融庁などが案内している相談窓口を確認する方法もあります。公的な情報源や相談窓口を活用しながら、「よく分からないまま契約してしまう」状況を避けることが、老後の資産を守る大切な一歩になります。

出典:金融庁「高齢社会における金融サービスのあり方」消費者庁「SNSなどを通じた投資や副業といった『もうけ話』にご注意ください!」国民生活センター「儲け話に関するトラブルにご注意!」