老後破産を招く、投資の落とし穴とは?

老後破産につながりやすい投資のパターン

投資そのものが危険なのではなく、「どのようなやり方をするか」によって、老後資金への影響が大きく変わります。ここでは、特に注意したいパターンを見ていきます。

生活費や緊急資金まで投資につぎ込んでしまう

老後の不安から、当面の生活費や急な出費に備えるお金まで投資に回してしまうと、病気や介護、災害、収入減少などのトラブルが起きたときに、値下がりしているタイミングで投資商品を売らざるを得なくなるリスクがあります。

投資は、あくまで「余裕資金」で行うのが基本です。数か月〜1年分の生活費を目安に、まずは生活防衛資金を現金や預貯金で確保しておき、それとは別に投資に回す金額を決めることが重要です。

高リスク商品に一括で大きな金額を投じてしまう

海外株式だけに集中投資する、特定のテーマに絞ったファンドに退職金の大半を一度に投資する、といった行動は、相場次第で大きな損失につながるおそれがあります。値動きの大きい商品ほど、購入直後に相場が悪化した場合のダメージも大きくなります。

特に退職直後は、まとまった退職金をどう運用するかを考えるタイミングのため、金融商品の勧誘を受ける機会も増えます。提案された商品の中身やリスクを十分に理解しないまま、一括で大きな金額を預けてしまうことがないよう注意が必要です。

借金やレバレッジを使った投機的な取引

信用取引やFX(外国為替証拠金取引)などは、元手の数倍以上の取引ができる仕組みです。うまくいけば短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方で、想定以上の速さで損失が膨らみ、元本を超える損失を抱えてしまうこともあり得ます。

老後資金を守るという観点では、生活費や老後資金を使ってレバレッジ取引を行うことは、リスクが非常に高い選択と言えます。もし行う場合でも、損失が出ても生活に支障が出ない範囲の少額にとどめるなど、慎重な判断が欠かせません。

勧誘や「もうけ話」に潜むリスクに注意する

最近は、店頭や電話だけでなく、SNSやチャットアプリ、動画サイトの広告などを通じて投資を勧められるケースも増えています。「簡単に稼げる」「必ず増える」といった表現には、特に注意が必要です。

SNSやチャットで届く投資勧誘

消費者庁などは、SNSをきっかけとした投資トラブルが続いていることを注意喚起しています。有名人や専門家を名乗るアカウントから、「誰でも簡単に資産が増える」「特別な情報を教える」と誘われるケースも報告されています。

最初は小額で利益が出ているように見せかけて信頼させ、その後、高額な入金を求める手口もあります。一度送金すると、お金が戻ってこなかったり、連絡が取れなくなったりする被害も発生しています。

「元本保証」「絶対に損をしない」と強調する商品

投資商品であるにもかかわらず、「元本は減りません」「必ず一定以上の利回りが出ます」といった説明をする勧誘には注意が必要です。元本保証をうたっていても、実際には元本割れの可能性があったり、条件が極めて限定的だったりするケースもあります。

金融庁や相談窓口の事例でも、「元本保証と説明されたが、実際には元本割れした」「リスクについて十分な説明がなかった」といった相談が繰り返し報告されています。投資である以上、価格や利回りには必ず変動があることを前提に考えましょう。

仕組みが複雑でよく分からない商品に手を出してしまう

一見すると魅力的に見える商品でも、中身の仕組みが複雑で、どのようなリスクを負っているのかが分かりにくいものもあります。高齢者を中心に、「きちんと説明を受けたつもりだったが、実際の商品性とは違っていた」「仕組みを理解しないまま契約してしまった」という相談も寄せられています。

商品説明書やパンフレットを読んでも仕組みが理解できない、家族に説明しようとしてもうまく説明できないと感じる場合は、その商品は自分には合っていない可能性が高いと考え、一度立ち止まることが大切です。