「。」をつけただけでパワハラ?「マルハラ」の衝撃

「おじさん構文」の問題は、絵文字やカタカナだけではありません。最近、「マルハラ」という言葉をご存知でしょうか。マルハラスメントの略で、LINEやチャットで文末に句点「。」をつけることで、相手に威圧感や恐怖を与えてしまう現象のことです。

「は? 句読点をつけて何が悪いんだ」——そう思った方、お気持ちはよくわかります。しかし、これが現実なのです。

アフィリエイトサービスプロバイダのafbが2024年5月に実施した「マルハラに関する調査」によると、LINEの「。」に対してネガティブな感情を抱く人が約2割いることがわかりました。

感情全体20代
威圧感を感じる9.0%18.0%
距離感を感じる6.0%12.0%
怒っていると感じる3.6%8.0%

注目すべきは、20代の数字が全体の約2倍という点です。つまり、あなたの部下世代は、句点ひとつで「上司が怒っている」「冷たくされている」と感じる可能性が高いのです。

別の調査では、若い女性の4割が句点に威圧感を覚えたことがあると回答しています。「了解。」と送っただけで、相手は「怒られた」と感じているかもしれません。

なぜ「。」が怖いのか

明星大学大学院の藤井靖教授は、この現象について次のように分析しています。

「LINEの特徴は、連続的にトークが残るコミュニケーションです。句点が入ることで、その連続性がバッサリと断たれ、関係が切られたような感覚になる。あるいは、厳しいことを言われているような印象を受けるのです」

つまり若者にとって、句点は単なる文法記号ではなく「感情の終止符」なのです。以下の違いを見てください。

表現若者が受ける印象
「了解。」冷たい、怒っている、突き放された
「了解〜」柔らかい、親しみやすい
「了解です!」明るい、前向き

「たかが記号ひとつで大げさな」と思うかもしれません。しかし、これがコミュニケーションの現実です。あなたが「正しい日本語」のつもりで使っている句点が、部下には「威圧」として伝わっている可能性があるのです。

若者が心の中で思っている「上司への本音」

ここまで読んで、「最近の若者は繊細すぎる」「こっちが気を遣わなきゃいけないのか」と感じている方もいるでしょう。その気持ちはわかります。

しかし、現実として若者は上司のLINEを見て、以下のような感想を持っています。これはネット上で実際に投稿されている「若者の本音」です。

「感情の表し方が独特すぎる」——絵文字の使い方が古い、量が多い、選び方が謎。

「お父さんがよくしてる」——つまり「ダサい」「古い」の婉曲表現です。

「頑張って若者言葉を使ってる感じがめっちゃ変」——無理に寄せようとするのが逆効果。

「親戚のおじさん達みんなこんな感じ」——要するに「典型的なおじさん」認定されています。

さらに厳しい声もあります。キャバクラやコンセプトカフェで働く女性たちの指摘はこうです。

「おじさん構文で問題なのは文体よりも内容。夜中にメッセージを送ってきたり、年上の立場を利用して返信を強要したりする。そういう人に限って、自分では『気遣いのつもり』と思っている」

耳が痛い話かもしれません。しかし、これが若者から見た「おじさん」の姿なのです。

ここで重要なのは、若者は面と向かってこれを言わないということ。彼らは黙ってスクリーンショットを撮り、友人とシェアし、「うちの上司ヤバくない?」と盛り上がっています。あなたが「良好な関係を築けている」と思っている部下が、実はあなたのLINEを「ネタ」にしている可能性があるのです。

では、なぜ40代、50代の男性は「おじさん構文」を使ってしまうのでしょうか。実は、それには歴史的な理由があります。次のページで詳しく解説します。