「前にも言ったよね?」——部下を指導するつもりで、何気なく口にしていませんか。実はこの言葉、Z世代の若手社員の約60%がパワハラだと感じていることが最新調査で明らかになりました。

さらに衝撃的なのは、70.6%の若手が「上司の言い方が改善されていれば、退職・転職を思いとどまった」と回答している点です。給与や待遇ではなく、上司の「言い方」が離職の引き金になっているのです。

本記事では、上司が無意識に使っている「NGワード」のランキングと、なぜそれがパワハラと認識されるのかを解説します。さらに、パワハラの法的基準や、今日から使える「言い換えフレーズ」まで、管理職が知っておくべき情報を網羅しました。「自分は大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ最後までお読みください。

Z世代が選んだ「上司のNGワード」ランキング

2025年8月、株式会社ペンマークと退職代行サービス「モームリ」を運営するアルバトロスが、20〜29歳の若手社会人316名を対象に「Z世代と上司のコミュニケーションに関する実態調査」を実施しました。その結果が、管理職にとって衝撃的な内容となっています。

NGワードトップ3

順位フレーズパワハラと感じる割合
1位「前にも言ったよね?」59.5%
2位「(理由を説明せず)いいからやって」53.8%
3位「普通はこうだよね?」「常識でしょ?」49.1%

1位の「前にも言ったよね?」は、実に6割近くの若手社員がパワハラと認識しています。上司としては「教えたことを覚えていてほしい」という気持ちから出る言葉かもしれません。しかし、受け取る側には「責められている」「見下されている」と感じられてしまうのです。

2位の「いいからやって」は、理由を説明せずに一方的に指示を出すパターンです。Z世代は「なぜその仕事をするのか」という意味や目的を理解した上で、主体的に取り組みたいと考える傾向があります。理由なき指示は、彼らのモチベーションを大きく下げてしまいます。

3位の「普通はこうだよね?」「常識でしょ?」は、自分の価値観を一方的に押し付ける言葉です。何が「普通」で何が「常識」かは、世代や環境によって異なります。この言葉を使った瞬間、部下は「自分の考えは否定された」と感じてしまうのです。

意外な「NGワード」——ポジティブな言葉も要注意

調査では、一見ポジティブに聞こえる言葉も問題視されていることがわかりました。

期待しているよ」という言葉。上司としては励ましのつもりで使っているかもしれません。しかし、約40%のZ世代がこの言葉を「過度なプレッシャー」として受け止めています。「期待に応えなければ」というプレッシャーが、かえってパフォーマンスを下げてしまうケースがあるのです。

東洋経済オンラインが報じた「許せなかった上司の言い方ランキング」では、さらに多くのNGワードが挙げられています。

順位フレーズ
4位「今辞めたら成長できない、退職は逃げ」
5位「前も言ったよね、何度言わせるんだよ」
6位「みんなそうだよ」
7位「今の若い子は〇〇だから」
8位「許されるのは今のうちだけだよ」
10位「自己研鑽だから残業じゃないよ」

「みんなそうだよ」は同調圧力、「今の若い子は〇〇だから」は世代でひとくくりにする発言です。いずれも、個人として尊重されていないと感じさせてしまいます。

NGワードに共通する3つの特徴

これらのNGワードには、共通する特徴があります。

1. 説明不足——なぜそうすべきなのか、理由が示されていません。Z世代は論理的な説明と納得感を重視します。理由なき指示は「自分の意見を聞いてもらえない」という不満につながります。

2. 一方的な価値観の押し付け——「普通」「常識」「みんな」といった言葉で、上司の価値観を正解として押し付けています。多様性を重視するZ世代にとって、これは受け入れがたい態度です。

3. 過去の失敗の蒸し返し——「前にも言った」「何度目?」は、過去のミスを責める言葉です。建設的なフィードバックではなく、単なる感情の発散と受け取られてしまいます。

あなたは日常的にこれらの言葉を使っていないでしょうか。次のページでは、なぜこれらの言葉が部下の心を傷つけるのか、心理学的な観点から解説します。