70.6%が「上司の言い方次第で辞めなかった」

Z世代の退職を防ぐカギは、実は「給与」でも「待遇」でもありません。ペンマークとアルバトロスの共同調査が、衝撃的な事実を明らかにしました。

全国のZ世代(20〜29歳)若手社会人316人を対象にした調査で、実に70.6%が「上司の言い方や伝え方が改善されていたら、退職・転職を思いとどまっていた可能性が高い」と回答。そのうち32.3%は「可能性は非常に高い」と答えています。

7割以上の若手が「上司のコミュニケーション次第で辞めなかった」と言っているのです。給与アップや福利厚生の充実よりも、日々の言葉のかけ方が重要だということを、この数字は示しています。

Z世代が「ハラスメント」と感じるコミュニケーション

では、どのような上司の言動がZ世代を退職に追い込むのでしょうか。調査では以下のようなコミュニケーションがNGとされています。

NGコミュニケーションZ世代が感じること
一方的な指示自分の意見が尊重されていない
高圧的な物言い心理的安全性が損なわれる
意図が不明瞭な指示何を求められているかわからない
人前での叱責自己肯定感が傷つく

Z世代は「個人の尊重」や「自己成長」を強く志向しています。そのため、上司からの言葉一つ一つが自分の存在価値やキャリアにどう影響するかを敏感に感じ取ります。上司世代が「普通の指導」と思っていることが、Z世代には「ハラスメント」と映る可能性があるのです。

「マルハラ」に見る世代間ギャップ

世代間のコミュニケーションギャップを象徴する言葉として「マルハラ」があります。これは、LINEなどのメッセージで句点「。」を使うことに対してストレスを感じる現象です。

例えば、上司が「了解。」と返信したとします。30代以上の世代にとっては普通の返事ですが、Z世代の一部は「冷たい」「怒っているのかな」と感じてしまいます。

調査によると、「了解。」という返事に対して6割は「特に何も思わない」と回答した一方、3割強が「少し冷たい・事務的」と感じていることがわかりました。

Z世代の使い分け

Z世代自身は、句点の有無で感情を表現しています。

気持ち表現例
気乗りしないとき「承知しました。」
大賛成のとき「承知しました!」
フレンドリーに「承知しました笑」

つまり、Z世代にとって句点は「距離感」を表すサインなのです。上司が何気なく使った「。」が、意図せず壁を作っている可能性があります。

もちろん、ビジネス文書やメールで句点を使うのは当然のことであり、何でもハラスメントと捉える必要はありません。しかし、相手によってコミュニケーションの取り方を変える柔軟性は、世代を問わず大切なスキルと言えるでしょう。

「ホワイト離職」という逆説

ここで一つ、意外な現象を紹介します。それは「ホワイト企業なのに辞める」若手が増えているという事実です。

2015年の若者雇用促進法、2019年の働き方改革関連法、2020年のパワハラ防止法——こうした法整備により、かつての「ブラック企業」は減少しました。残業は減り、有給休暇は取りやすくなり、ハラスメントへの対応も厳しくなっています。

しかし、労働環境が改善されたにもかかわらず、若手の離職率は下がっていません。リクルートワークス研究所の調査では、若手社員の36.4%が「職場がゆるい」と感じていることがわかっています。

「ゆるい」と感じる若手の多くは、こう考えています。

「働きやすいのはいいけど、このままでは成長できない」「スキルが身につかないまま歳を取ってしまう」「先輩を見ていても、自分の将来像が描けない」

皮肉なことに、優秀なZ世代ほどホワイト企業を辞めていく傾向があります。彼らは「楽な環境」ではなく「成長できる環境」を求めているのです。

では、上司として何ができるのでしょうか。最終ページでは、Z世代と良好な関係を築くための具体的なアプローチを紹介します。