「毎日9時に出社するのがツラくて辞めました」——もしあなたの部下からこう言われたら、どう感じるでしょうか。「甘えるな」「社会人として当然だろう」と思うかもしれません。しかし今、こうした理由で退職するZ世代が増えています。
厚生労働省が2024年10月に発表したデータによると、2021年3月に大学を卒業した新卒社員のうち、3年以内に離職した割合は34.9%。前年から2.6ポイント上昇し、過去15年間で最も高い水準となりました。実に3人に1人以上が早期退職している計算です。
本記事では、35〜50代の管理職世代が「え?」と驚くようなZ世代の退職理由を紹介しながら、その背景にある価値観の違いを解説します。部下の突然の退職に悩んでいる方、若手社員とのコミュニケーションに苦労している方は、ぜひ最後までお読みください。
「信じられない」退職理由の実例
まずは、実際に報告されているZ世代の退職理由を見てみましょう。
冒頭で紹介した「9時出社がツラい」は実話です。ある企業で働いていたZ世代の若手社員は、毎日決まった時間に出社することへの苦痛を訴えて退職しました。フレックスタイム制が導入されていない職場では、この「当たり前」が耐えられなかったのです。
他にも、上司世代が驚く退職理由は数多く報告されています。
| 退職理由 | 上司世代の反応 |
|---|---|
| 電話対応が苦手 | 「仕事なんだから慣れろ」 |
| 飲み会に参加したくない | 「付き合いも仕事のうち」 |
| 成長できる環境がない | 「まだ3年も経ってないのに」 |
| 先輩が楽しそうじゃない | 「仕事は楽しむものじゃない」 |
SNS世代であるZ世代は、電話でのコミュニケーションに慣れていません。「正解がわからないことをやりたくない」という心理もあり、電話対応への苦手意識が退職理由になるケースも増えています。
3年以内離職率34.9%の衝撃
「最近の若者はすぐ辞める」という声はよく聞きますが、データを見ると興味深い事実がわかります。
実は、大卒者の3年以内離職率は過去20年間、おおよそ30〜35%で推移してきました。「3年3割」の傾向は今に始まったことではありません。ただし、2021年卒の34.9%という数字は、2005年以来16年ぶりの高水準です。
さらに注目すべきは「超早期離職」の増加です。入社後6ヶ月未満で退職する割合は約10%。中には入社当日や数週間で辞めるケースも報告されています。2025年4月1日には、退職代行サービスに入社初日から5件の依頼があったというニュースも話題になりました。
「びっくり退職」という現象
最近、人事担当者の間で「びっくり退職」という言葉が広まっています。これは、事前の予告なしに突然辞めることを指す言葉です。「バックレ」「飛ぶ」とも呼ばれ、ある日突然退職届を出されたり、出社しなくなったりするケースが増えています。
ある企業では、配属されてわずか1ヶ月の新人が「あの、これ受け取ってもらっていいですか」と伏し目がちに退職届を差し出しました。上司は「まだ配属されて1ヶ月なのに?」と驚いたといいます。封筒を開けると、そこには「一身上の都合」とだけ書かれていました。
別の事例では、「絶対に第1クオーターの売上目標を達成しましょう」と力強く宣言していた3年目の若手社員が、わずか2週間後に「次の会社が決まったので来月末で退職します」と告げたケースもあります。前の週まで笑顔で話していたのに、翌週には退職を申し出る。こうした若手社員の行動を理解できず、悩んでいる管理職は少なくありません。
背景には、SNSの普及があります。今の若手はSNSを通じて社外のネットワークを構築し、気軽に転職相談ができる環境にいます。そのため、社内では退職の兆候が察知しにくくなっているのです。
では、なぜZ世代はこれほど早く会社を辞めてしまうのでしょうか。次のページでは、調査データをもとにその本当の理由を探ります。
