退職の本当の原因は「上司」——70%が不満を抱えていた

パーソル総合研究所が2024年12月に発表した調査によると、退職代行を利用した人の約70%が「直属上司との関係」に不満を持っていたことがわかりました。さらに、約40%が「直属上司からのハラスメントを受けた」と回答しています。

この数字は衝撃的です。退職代行を利用する人の大半が、上司との関係に問題を抱えていたのです。

しかし、ここで重要なポイントがあります。エン・ジャパンの調査(2024年)によると、退職時に本当の理由を会社に伝えなかった人は54%にのぼります。つまり、半数以上の人が本音を隠して辞めているのです。

会社に伝えた退職理由と本当の退職理由のギャップ

順位会社に伝えた理由割合本当の理由割合
1位別の職種にチャレンジしたい22%人間関係が悪い46%
2位家庭の事情21%給与が低い26%
3位体調を崩した18%会社の将来性に不安25%

会社に伝える理由は「別の職種にチャレンジ」「家庭の事情」といった当たり障りのないもの。しかし本当の理由の1位は「人間関係が悪い」で46%と、ほぼ半数を占めています。

なぜ本音を言わないのか。その理由として最も多かったのは「話しても理解してもらえないと思った」(46%)でした。つまり、上司に不満があっても言えない、言っても無駄だと諦めている人が多いのです。

退職代行利用者の意外な特徴——「身勝手」ではなかった

退職代行を使う人に対して、「自分で言えないのは甘え」「社会人として問題がある」といった批判的な見方をする人もいるかもしれません。

しかし、パーソル総合研究所の調査では意外な事実が明らかになりました。退職代行利用者は一般的な離職者と比べて、「周りの人たちと密に力を合わせて働きたい」というチームワーク志向が強い傾向があったのです。

つまり、退職代行を利用する人は決して「身勝手」なわけではない。むしろ、周囲との協調を重視するからこそ、職場の人間関係に強いストレスを感じやすいのかもしれません。

また、退職代行を利用した人の多くが、前職に対して「申し訳なさ」を感じているという結果も出ています。本当は直接伝えたかったけれど、それができない状況に追い込まれていた——。そう考えると、退職代行は「逃げ」ではなく、追い詰められた人の最後の選択肢なのです。

さらに深刻なのは「職場に相談できる人がいない」という問題です。パーソル総合研究所の調査では、正規雇用者の61.4%が「職場で相談できる人がいない」と回答しています。相談相手がいれば退職を思いとどまるケースも多いはずですが、孤立した状態では退職代行に頼らざるを得ないのです。

退職代行を使わせない職場の条件

エン・ジャパンの調査では、「どのような環境や条件があれば、退職代行を利用しなかったか」という質問も行われています。その結果は、上司・管理職にとって示唆に富むものでした。

順位退職代行を使わなかったであろう条件割合
1位上司が話しやすい60%
2位職場の人間関係がよい56%
3位退職意向をきちんと認めてくれる風土がある42%

1位は「上司が話しやすい」で60%。結局のところ、上司との関係性が退職代行利用の最大の分かれ目になっているのです。