早期退職で失敗する人の5つの共通点
早期退職後に経済的な困難に陥る人には、いくつかの共通したパターンがあります。自分が該当していないか、チェックしてみてください。
1. 退職金の「額面」だけを見ている
「6000万円」という数字のインパクトに惑わされ、手取り額を計算していない人は要注意です。退職金には所得税と住民税がかかります。田中さんの場合、6000万円の退職金は手取りで約5170万円。830万円近くが税金で消える計算です。
さらに、住民税は翌年にまとめて請求されるため、退職後に「こんなに払うのか」と驚く人も少なくありません。手取り額を正確に把握しないまま、使える金額を過大に見積もってしまうのです。
2. 生活費の計算をしていない
「退職金があるから大丈夫」という漠然とした安心感だけで、具体的な収支計算をしていない人が多くいます。
夫婦二人世帯の場合、55歳から65歳までの10年間で必要な生活費は約3500万円(月29万円×120ヶ月)。さらに65歳以降の老後資金も必要です。退職金6000万円は大金ですが、「何歳まで、いくら必要か」を計算すれば、決して余裕のある金額ではないことがわかります。
3. 再就職を楽観視している
「自分には経験とスキルがある」「すぐに次の仕事は見つかる」と考えている人ほど、現実とのギャップに苦しみます。前述のデータが示すとおり、55歳以上の採用に積極的な企業はわずか1%。100社応募しても、前向きに検討してくれるのは1社だけという計算です。
再就職支援会社を利用すれば8割近くが再就職に成功するというデータもありますが、独自で転職活動を行った場合は「50社、100社応募しても選考に通らない」という声も珍しくありません。
4. 前職と同等の条件にこだわる
「最低でも前職の8割程度は欲しい」「役職は下げたくない」といったこだわりが、再就職を遠ざける原因になります。50代の転職では、年収が下がることを前提に考える必要があります。
条件にこだわり続けて無職期間が長引けば、その間も生活費は減り続けます。「理想の条件を待つ」ことのコストは、想像以上に大きいのです。
5. 応募期間の短さに焦って決断する
早期退職の募集は、発表から締め切りまでの期間が短く設定されることが多いです。田中さんの場合も1ヶ月未満でした。「今決めないとこの条件はもらえない」という焦りから、十分な検討なしに応募してしまうのです。
しかし、人生を左右する決断を1ヶ月で下すのは危険です。可能であれば、応募前に転職エージェントに相談し、自分の市場価値を把握しておくことが重要です。
退職金を「増やそう」として減らす人たち
早期退職後、退職金を運用して増やそうとして、逆に大きく減らしてしまう人も少なくありません。
よくある失敗パターン
FX・仮想通貨への投資:「退職金で一発逆転」を狙い、ハイリスク投資に手を出すケース。ある男性は「FX投資で大胆な勝負を行い、1200万円をすってしまった」と告白しています。
パニック売りによる損失:株式投資を始めたものの、相場の下落に耐えられず慌てて売却。「コロナ禍で株が下がり、慌てて売却したら大損した」という声も多く聞かれます。
「退職金特別プラン」の罠:銀行が提案する「退職金専用の高金利定期預金」には注意が必要です。金利が年7%程度と魅力的に見えますが、実際には1年未満の短期間だけ。しかも販売手数料の高い投資信託とのセット購入が条件になっていることがほとんどです。定期預金の利息より、投資信託の手数料のほうが高くつくケースが多いのです。
知識不足での不動産投資:「家賃収入で安定した老後を」と考え、不動産投資に手を出すケースもあります。しかし、十分な知識なく物件を購入した結果、空室が続いて借金だけが残るという「老後破綻」に陥る人も存在します。
退職金は「増やす」よりも「減らさない」ことを優先すべきです。特に投資経験のない人が、いきなり大金を運用するのは極めてリスクが高い行為といえます。
