2025年1月6日、多くの企業で仕事始めとなったこの日、退職代行サービス「モームリ」には過去最多となる256件の依頼が殺到しました。これは従来の最高記録180件を大幅に上回る数字です。9連休明けの月曜日に、いったい何が起きたのでしょうか。

利用者の中には「年末年始で洗脳が解けた」と語る人もいます。長期休暇中に家族や友人と話すうちに、自分の職場環境が異常だったことに気づいた。もう1秒たりともあの空間に戻りたくない——。そんな切実な声が、この数字に表れています。

実は、連休明けに退職を考える人は決して少数派ではありません。調査によると、約40%の会社員が連休明けに「会社を辞めたい」と考えた経験があるといいます。あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。

本記事では、なぜ正月明けに退職者が殺到するのか、その心理メカニズムと本当の原因を解説します。そして35〜50代の読者の皆さんには、ぜひ「上司」としての視点からもこの現象を見ていただきたいのです。突然部下が辞める「びっくり退職」を防ぐヒントが、ここにあります。

1月6日、退職代行に256件の依頼が殺到した

2024年末から2025年始にかけては、カレンダーの並びが良く「奇跡の9連休」と呼ばれました。12月28日から1月5日まで、最大9日間の休暇を取得できた人も多かったはずです。

この長期休暇明けの1月6日月曜日。退職代行サービス「モームリ」には、1日で256件という過去最多の依頼が寄せられました。

雇用形態依頼件数
正社員202名
パート・アルバイト24名
契約社員18名
派遣社員11名
その他1名

注目すべきは、正社員が202名と全体の約8割を占めている点です。非正規雇用者より辞めにくいはずの正社員が、これほど多く退職代行を利用している。この事実は、日本の職場に根深い問題があることを示唆しています。

月間の依頼件数も1月27日時点で1,974件に達し、従来の月間最多記録1,837件を更新しました。正月明けは、まさに「退職ラッシュ」の様相を呈しているのです。

「年末年始で洗脳が解けました」利用者の声

退職代行を利用した人々は、なぜ正月明けに決断したのでしょうか。ある利用者はこう語っています。

「年末に帰省して家族や友人と話してから、一気に心変わりしました。周りから『どう考えてもブラック』『やめるほうがいい』と指摘されたんです。その年末年始の休みに他の人と話して洗脳が解けたというか、もう1秒たりともあの空間に行きたくないと思い、退職代行を利用することに決めました」

この「洗脳が解けた」という表現は象徴的です。日々の業務に追われていると、異常な環境も「当たり前」に感じてしまう。しかし長期休暇で日常から離れ、客観的な視点を取り戻したとき、初めて自分の置かれた状況の異常さに気づくのです。

退職代行を利用した理由として挙げられた具体的なエピソードも深刻です。

「職場で倒れて点滴を打った後に働かされた」「1番下の立場の人や仕事ができない人が必ず悪口の標的になり、自分が辞めると言うと『他で働けなくさせるよ』と脅された」——。こうした声を聞くと、退職代行という選択肢がなぜ必要とされているのか、理解できるのではないでしょうか。

では、このような「正月明け退職」は特殊な現象なのでしょうか。実は、連休明けに退職を考える人は、私たちが思っている以上に多いのです。