インデックス投資は、「少額から始められる」「分散しやすい」といった特徴から、投資初心者にも取り組みやすい方法として紹介されることが多いです。ただし、あくまで「投資」である以上、預金とは違うリスクがあり、やり方を間違えると大きな損失やストレスにつながることもあります。
このページでは、インデックス投資の代表的なリスクと、長く続けるうえで「やってはいけないこと」を整理してお伝えします。あらかじめ知っておくことで、極端な失敗を避けやすくなります。
インデックス投資で避けられない主なリスク
価格変動リスク（元本割れのおそれ）
インデックス投資の対象となる株式や債券などは、日々価格が変動します。ベンチマークとしている指数が下落すれば、それに連動するインデックスファンドの価格も下がり、一時的に元本を割り込むことがあります。
金融庁や各金融機関の解説でも、「株式や投資信託などの運用商品には元本割れのおそれがある」ことが、投資の基本的なリスクとして説明されています。インデックス投資も例外ではなく、「短期的にはマイナスになる時期もある」ことを前提に考える必要があります。
為替リスク（海外資産に投資する場合）
全世界株式や米国株など、海外の資産に投資するインデックスファンドでは、為替レートの変動によるリスクも加わります。円安になると円ベースの評価額は増えやすくなりますが、円高になると、たとえ現地通貨ベースで価格が変わっていなくても、円に換算したときの評価額が減ることがあります。
インデックス投資では、「株価の変動」と「為替の変動」の両方の影響を受ける可能性がある点を押さえておきましょう。
インフレリスク（物価上昇との関係）
預金と比べて高いリターンを期待できる一方で、インデックス投資が必ずしもインフレ率を上回るとは限りません。長期的には株式市場全体の成長に連動して資産が増えることが期待されますが、国や地域の経済状況によっては、期待したほど増えない可能性もあります。
「インフレに備えるために投資する」という考え方自体は有効ですが、「投資をしていればインフレには絶対負けない」と過信し過ぎないことも大切です。
商品選択・運用方針のミスマッチ
インデックス投資といっても、対象となる指数や地域、資産クラスによって値動きの特徴は異なります。自分のリスク許容度に合わない商品を選んでしまうと、想定以上の値動きに不安を感じて途中で手放してしまうなど、結果的に損失を拡大させてしまうことがあります。
また、「長期・積立・分散」が前提のインデックス投資で、短期売買を繰り返すと、本来期待できるはずだったリターンを取り逃してしまうおそれがあります。
「長期・積立・分散」を誤解したときの落とし穴
「長期だから必ず安全」と思い込んでしまう
長期・積立・分散は、投資リスクと上手につき合うための基本的な考え方として、金融庁なども繰り返し紹介しています。ただし、「長期であれば絶対に損をしない」「時間がすべてのリスクを消してくれる」という意味ではありません。
実際には、長期であっても投資対象の選び方や比率によっては、元本割れの状態が長く続くこともあります。「長期＝必ず安心」というイメージを持ちすぎると、自分のリスク許容度を超えた投資をしてしまいがちです。
分散しているつもりでも実は偏っている
全世界株式インデックスや複数のファンドを組み合わせている場合でも、実際の中身を見てみると、特定の地域や資産クラスに偏っていることがあります。特に、米国株式の比率が高くなる商品が多いため、「世界に分散している」と思っていたのに、実は米国への依存度が高かった、というケースもあります。
「分散しているつもり」になってしまうと、自分がどのようなリスクを取っているのか分かりにくくなり、下落局面で慌てやすくなります。
インデックス投資で「やってはいけないこと」
やってはいけないこと① 短期の値動きに振り回されて売買を繰り返す
インデックス投資は、本来「長期でコツコツ続ける」ことを前提とした投資です。しかし、日々の価格変動が気になりすぎて、少し下がるたびに売却してしまったり、急騰したときだけ慌てて買ってしまったりすると、結果的に高値づかみ・安値売りを繰り返すことになりかねません。
短期のニュースや相場の雰囲気に合わせて売買を繰り返すことは、インデックス投資のメリットを自ら打ち消してしまう行動です。基本方針に沿って積立を続けることを優先し、「短期の上下はあるもの」と割り切る姿勢が重要です。
やってはいけないこと② 生活資金までリスク資産に回してしまう
「長期で見れば増えるはず」と考えて、生活費や近い将来に必要な資金までインデックス投資に回してしまうのは危険です。急な出費が必要になったとき、相場が悪いタイミングでやむなく売却しなければならず、損失を確定させることになりかねません。
生活費の数か月〜1年分程度は預金などで確保し、そのうえで余剰資金の範囲から投資額を決めるのが、基本的な考え方です。「投資に回してよいお金」と「絶対に減らしたくないお金」を分けておくことが、リスクとの付き合い方の土台になります。
やってはいけないこと③ よく分からない仕組みの商品に手を出す
インデックス投資と似た名前でも、実際には値動きが大きく異なる商品も存在します。たとえば、レバレッジ型・インバース型と呼ばれる商品は、指数の値動きを何倍にもしたり、逆向きに動いたりする設計になっており、短期売買向けとして位置付けられているケースが多いです。
こうした商品は、値動きが複雑でリスクも高く、長期の資産形成には向きません。「インデックス」「○○指数」といった言葉だけで安心せず、目論見書や商品説明で仕組みを理解し、「自分が分かる範囲」の商品を選ぶことが大切です。
やってはいけないこと④ 手数料の高さを気にせず選んでしまう
同じ指数に連動するインデックスファンドでも、信託報酬（運用管理費用）の水準は商品ごとに異なります。長期で保有するほど、毎年かかるコストの差はそのままリターンの差につながります。
販売手数料がかかる商品や、信託報酬が高めに設定されている商品をなんとなく選んでしまうと、知らないうちに運用コストがかさみ、せっかくのリターンが目減りしてしまいます。同じ指数に連動する商品であれば、長期投資では「なるべく低コストなものを選ぶ」のが基本です。
やってはいけないこと⑤ 情報を追いすぎて不安を増幅させる
投資に関する情報は、ニュースサイトやSNS、動画などで日々大量に流れてきます。参考になる情報も多い一方で、過度に不安を煽るような内容や、極端な成功談も少なくありません。
インデックス投資の方針を決めたあとに、毎日のように相場ニュースや他人の損益報告を追いかけ続けると、かえって不安が大きくなり、感情的な行動を取りやすくなります。自分なりのルールを決め、「情報との距離の取り方」も意識しておくと、落ち着いて続けやすくなります。
リスクと付き合いながらインデックス投資を続けるために
自分のリスク許容度を知る
インデックス投資を含め、どんな投資でも「自分がどの程度の損失なら精神的に耐えられるか」を知っておくことが重要です。運用金額や年齢、収入や家族構成などによって、取れるリスクの大きさは人それぞれ違います。
評価額が一時的に20％下がったときにどう感じるか、30％下がったらどうか、といったイメージを持っておくと、自分に合った資産配分や商品選びの目安になります。
ルールを決めて機械的に続ける
「毎月いくら積み立てるか」「どのファンドをどの比率で持つか」をあらかじめ決めておき、そのルールに沿って自動積立を行うと、感情に振り回されにくくなります。大きな環境変化やライフイベントがあったときだけ、年に1回程度見直す、といったマイルールを決めておくのも一案です。
リスクをゼロにすることはできませんが、あらかじめリスクの中身と「やってはいけないこと」を知っておくことで、インデックス投資とより長く、落ち着いて付き合っていくことができます。
出典：第一生命保険「インデックス投資とは？初心者向けにメリット・デメリットを解説」／第一生命保険「投資のリスクとは？初心者が安心して一歩踏み出すための基礎」
