インデックス投資に興味はあっても、「どこで口座を開けばいいのか」「積立設定はどうやるのか」「始めてからは何を見直せばよいのか」が分からず、一歩を踏み出せない方は多いです。インデックス投資は、長期でコツコツ続けることで力を発揮する方法なので、最初の準備と、始めた後の付き合い方がとても大切です。

このページでは、投資初心者の方向けに、インデックス投資の始め方と続け方を、証券口座選び・積立設定・見直しのポイントという流れで整理して解説します。

インデックス投資を始める前に確認したいこと

目的と期間をざっくり決めておく

投資を始める前に、「何のためにお金を増やしたいのか」「どのくらいの期間をかけられるのか」をざっくり決めておきましょう。

  • 老後のゆとり資金づくり
  • 将来の住宅購入やリフォーム費用
  • 子どもの教育費の一部

といった目的が考えられます。目的や期間がある程度イメージできれば、「毎月いくらくらい積み立てるか」「どれくらいの値動きまで許容できるか」も決めやすくなります。金融庁の資料でも、ライフプランを意識しながら長期・積立・分散で資産形成を行う重要性が繰り返し説明されています。

生活防衛資金と投資に回すお金を分ける

インデックス投資を始める前に、「投資に回さないお金」と「投資に回してよいお金」を分けることが重要です。一般的には、急な病気や失業などに備え、生活費の数か月〜1年分程度は、預金として確保しておくと安心だとされています。

そのうえで、当面使う予定のない余剰資金の中から、インデックス投資に回す金額を決めていきます。最初から大きな金額を投資に回す必要はなく、「毎月〇円の積立から始めてみる」というイメージで構いません。

証券口座の選び方のポイント

ネット証券が基本。重視したい4つのポイント

株や投資信託を購入するには、証券会社で口座を開設する必要があります。最近は、店舗型の証券会社よりも、手数料が比較的安くオンラインで手続きできるネット証券を選ぶ人が多くなっています。ネット証券の選び方として、次のようなポイントがよく挙げられます。

  • 売買手数料や投資信託の購入時手数料の水準
  • 投資信託・ETFの取扱本数(インデックスファンドの品揃え)
  • スマホアプリや取引ツールの使いやすさ
  • 入出金のしやすさや、ポイント投資など付帯サービスの充実度

特にインデックス投資では、長期にわたって少しずつ積み立てていくため、「手数料が安いこと」と「投資信託の品揃えが豊富であること」は重要な条件になります。ネット証券の比較記事などでも、こうした観点から各社のメリット・デメリットが紹介されています。

口座開設の流れのイメージ

証券口座開設の具体的な手順は証券会社によって細部は異なりますが、一般的には次のような流れです。

  1. 証券会社のウェブサイトから「口座開設申込」を行う
  2. 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提出
  3. マイナンバーの提出
  4. 数日後にログイン情報や書類が届き、口座開設完了
  5. 銀行口座から証券口座に入金する

最近は、スマホで本人確認書類を撮影・送信するオンライン本人確認(eKYC)が普及しており、申込から数日程度で取引を始められるケースが多くなっています。

インデックスファンドの選び方の基本

連動する指数と投資対象を確認する

証券口座を開いたら、実際に購入するインデックスファンドを選びます。まず確認したいのは、「どの指数に連動する商品か」「どの地域・資産に投資する商品か」です。

  • 全世界株式インデックスファンド
  • S&P500などの米国株インデックスファンド
  • 日経平均やTOPIXなどの日本株インデックスファンド

といった分類があります。それぞれの特徴については別の記事で詳しく整理しますが、「どの地域の成長に乗りたいか」「どの程度の値動きなら許容できそうか」を考えながら、主軸となるインデックスを絞り込んでいきます。

信託報酬(運用コスト)が低いものを優先する

同じ指数に連動するインデックスファンドでも、運用会社によって信託報酬(運用管理費用)の水準が異なります。金融庁や金融機関の解説でも、投資信託を選ぶ際には「信託報酬の水準に注意すること」が繰り返し強調されています。

長期で運用するインデックス投資では、毎年のコストの差が将来のリターンの差につながります。候補となる指数が決まったら、その指数に連動する複数のファンドの中から、信託報酬が低いものを優先的に検討するとよいでしょう。

販売手数料ゼロ(ノーロード)の商品を選ぶ

投資信託によっては、購入時に販売手数料(買付手数料)がかかるものもありますが、最近は販売手数料ゼロ(ノーロード)のインデックスファンドが主流になっています。長期で積み立てるインデックス投資では、購入のたびに手数料がかかる商品よりも、ノーロードの商品のほうがコスト面で有利です。

積立設定のやり方と続けるコツ

毎月の積立金額を決める

インデックス投資は、毎月一定額をコツコツと積み立てていく方法が基本です。多くの金融機関では、投資信託を毎月自動で買い付ける「投信積立サービス」を提供しており、数百円〜1,000円程度の少額から設定できるところもあります。

毎月の積立金額は、「生活に支障が出ない範囲で」「長く続けられそうな金額」に設定することが大切です。最初は少額から始めて、慣れてきたら増やすという形でも問題ありません。

積立日の設定と「先取り」の考え方

積立日をいつに設定するかも、続けやすさに影響します。給料日の直後など、口座残高に余裕がある日に自動で積み立てるよう設定しておくと、「余ったら投資しよう」という発想よりも実行しやすくなります。

金融庁の教材でも、毎月一定額を継続して投資する「積立投資」は、時間の分散と長期保有を組み合わせることで、効率的な資産形成につながる手法として紹介されています。

一度設定したら、基本は「ほったらかし」でOK

インデックス投資は、頻繁に売買する必要はありません。積立設定を行ったら、毎日価格をチェックしたり、短期の値動きに合わせて売買したりするよりも、長期の目線で淡々と続けることが大切です。

値下がり局面では不安になりやすいですが、積立投資では価格が下がっているときほど、同じ金額で多くの口数を買えるという側面もあります。短期の上下に一喜一憂せず、長い時間を味方につけるイメージで続けていきましょう。

続けながら見直すポイント

年に1回程度、全体のバランスを確認する

インデックス投資は「基本ほったらかし」でよいとはいえ、まったく見直さないのもおすすめできません。年に1回程度、次のような点を確認してみましょう。

  • 現在の積立金額は、家計に無理のない水準か
  • 投資している商品の構成や比率は、自分の許容できるリスクの範囲か
  • 大きなライフイベント(転職、出産、住宅購入など)で状況が変わっていないか

必要に応じて、積立金額を増減したり、商品構成を少し調整したりします。ただし、短期の値動きだけを理由に頻繁に商品を乗り換えると、コストがかさんだり、長期のリターンを損なったりする可能性があります。

「やめる」より「金額を減らす」選択肢も持っておく

相場が大きく下落したときや、家計に不安が出てきたとき、「積立をすべてやめる」という選択を取りたくなるかもしれません。しかし、完全にやめてしまうと、その後の回復局面で資産形成の機会を逃してしまうこともあります。

どうしても不安が大きいときは、「一時的に積立金額を減らす」「新たな買い増しは控えつつ、今ある分はそのまま保有する」といった折衷案も選択肢に入れておくと、長期で続けやすくなります。

自分のリスク許容度が変わったら、資産配分も見直す

年齢や家族構成、仕事の状況などが変われば、「どの程度のリスクを取れるか」も変わっていきます。若い頃は比較的リスクを取りやすくても、退職が近づくと、値動きの大きい資産を減らしたくなることもあるでしょう。

こうした変化に応じて、インデックス投資の比率を少しずつ下げたり、より値動きの安定した資産(債券や現金)の比率を高めたりすることも検討材料になります。大きく方針を変える前に、金融機関の相談窓口やファイナンシャル・プランナーに相談してみるのも一つの方法です。

インデックス投資は、特別なセンスや高度な知識がなくても、ルールを決めてコツコツ続けることで、将来の資産形成に役立てやすい手法です。無理のない金額と、自分に合った証券口座・商品を選び、長く付き合っていける形を整えていきましょう。

出典:金融庁「基礎から学べる金融ガイド(資産形成編)」三井住友銀行「【初心者向け】資産運用おすすめ3選」三菱UFJ銀行「投資初心者向け 投資の種類やポイント」